キラと ウシワカの ボス争い

ネコには、縄張り、というものがあり、

縄張りはそのネコのシマを表すのですが、特にオスネコの場合、

子ネコの時代から特徴的です。



２歳になる、キラとウシワカは兄弟ネコですが、子ネコ時代には、
もう１匹の兄弟のシバというオスネコがいました。


その後、病気で亡くなりましたが、そのシバが生きていた頃には、
ウシワカもキラも、２番手３番手、といった感じで過ごしていたのです。


子ネコの時から、遊びの中に狩猟と生殖本能の闘いを持っている
ネコ。


その遊びは無駄な遊びではありません。


成ネコになったときしなければいけない事柄のたくさんの基本的な
生き抜くチカラを成長させるためにある遊びとなっているのです。


子ネコたちはよく兄弟（妹）で遊んでいるものですが、
子ネコといえど、その遊びは成ネコに通じるための避けては通れない


ネコ社会のルールの決定づけとなっているのです。


だから、母ネコと早くから別れることになった子ネコは、社会的ルールが
身についておらず、苦労を余儀なくされることもあります。


一説には、母ネコと一緒に暮らす時間は、２ヶ月から3ヶ月なければ
十分ではない、という話しもあるくらいです。


ネコだけじゃなく、動物の世界での母親と一緒に暮らす時間は、とても
重要なことなのです。


ネコはよく噛み付き、という行動をするのですが、これも、生殖行動になくては
ならない成ネコへの第一歩といった行動です。


また、兄弟で、ケンカをすることも争うことが大事なことなのではなく、
縄張りを決める行動であり、

自分の位置づけを決めるひとつの表現力でもあるわけです。


兄弟でこうしたケンカのような行動をとっても、あとで仲良くしていられるのは
それが憎しみから起こったことではなく、お互いが成ネコになるために


とても必要なことだと潜在的に網羅されているからでしょう。


シバが居なくなって、
次第にいちばんの席を狙うモノが現れました・・・・それがウシワカです。


ウシワカにはシバが居なくなった事の重大さが理解できていたように思えます。
それだけ利口なのかもしれません・・・・


仲間の死、を、理解できることは子ネコのときには難しいことです。
人間でも、こどもには簡単なことではないでしょう。


しかし、ウシワカはシバが死んだとき、静かに黙り込み、家の中を何度も
行き来して、まわりを見渡し、まるでシバがを探しているかのようでした、


そうしているうち、きっとシバがもう居ないんだ・・・ということを理解し始めます。


一方、キラは、もともと臆病な子ネコだったので、シバの遺体を目の前にして
後ずさりする怖がりでした。


このあたりからキラとウシワカは、少しずつ我を見せ始めていきます。


ウシワカは、完全に自分がリーダーにならなければいけないんだ・・・そういった
気構えが見えたのです。


ウシワカは、キラに対し、睨みを効かせるようになり、
突然ケンカのような場面に変わることが頻繁に見られるようになります。


対して、キラは、ウシワカの攻勢に逃走するばかりの毎日が続きます。

しかし、とある日、いつものようにウシワカがキラを追い詰めると、
防戦一方だったキラが突如反撃に移ったのです。


ウシワカの攻撃に応戦し、ひっくりかえりながらもんどりうちながらの
キラの戦いぶりには目を見張るものがありました。


ひとなつっこいキラでしたが、この日から防戦でなく応戦するように変化して
いったのです。


考えて見ると、
ウシワカがしつこくキラを攻撃していたのには理由があるのだと気がつきます。


兄弟の２匹のウシワカとキラ・・・・。

互いに強くなっていかなければ、いけないんだ、ということをキラを攻撃し、
キラの応戦に仕向けていたのではないでしょうか。


決してただの縄張り争い、ということだけではないのです。

成ネコに成長していく過程で、そばにいつでも闘える兄弟が居ます。
お互いさらに成長するため、こうして闘争心を育んでいくことが、兄妹を守り、


かつ、自分自身を大きくしてくという意義があるのだと思うのです。


家の中に何匹かのネコがいると、小さな家とはいえ、
そこでもいつの間にか縄張り争いが発生しているものです・・・それが
ネコの世界です。


わが家の家の中で、ウシワカとキラは縄張り争いを繰り返しながら、ボスは
誰だ？

どっちだ？

いまは、まだそんな段階なのかもしれないですが、・・・そんなネコの世界が、


いじらしく見えてきて、、愛してやらないわけには、・・どうしても
いかないのです。


家の中でのボス争いは、次に外の世界へ向かっていきます。

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